人間ごっこ

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人間という生き方をしているヤツらがいる。

本当の正体は皆それぞれバラバラで、
妖精だったり、魔女だったり、怪物だったり、
ドラゴンだったり、魔法使いだったり。

だけど皆「私は人間だよ」と口をそろえて言う。
そして、それぞれが思い描く人間として振る舞い、
それっぽい社会を築き上げ、それらしい生活をおくるのだ。

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何の冗談か分からないけれど、
自称人間達は、お互いすら人間として扱う。

たくさんの目を持ったヤツにも、
大きな耳を持ったヤツにも、
とげとげした尻尾を持ったヤツにもだ。

ヤツらには、お互いの本当の姿が見えていないのか?

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真実を映す鏡を見ても、
ヤツらは自分を人間だと信じて疑わない。

全身毛むくじゃらな狼男が
「綺麗なストレートロングだわ」と髪を撫でたり、
ふわふわ白い丸っとした兎が
「筋トレが生きがいだ」とジムに通ったり。
カエルの女王がマイクを手に取り
歌ったり踊ったりしているのだ。

人間とは不可解な生き方である。

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世迷い言