201807
聞いたこともない異国の言葉が音と絡み合う。
上には仲の良さそうな親子が会話をしている。
ラジオを目で聞くというのも初めてだ。
その光景を、どこでもない場所から感じ取る。
私は、空間そのものだった。
◆
自分の身体が真っ黄色に変色していたのを見て、
私は少しだけ人体の構造に驚いた。
手のひらも、太ももも、顔面も
ビタミンCの擬人化かよってくらい黄色かった。
意識を取り戻した私に気づいた医者が
こちらに近づき口をパクパク動かす。
何を言ってるのかよく分からない。
というかこの人、なんだったっけ?
この人は白衣を着ている。
きっとお医者さんだね。
あれ、知ってる人だっけ?
風貌からして医者だろうか。
いや、お前は誰だ……?
さっきから全身が筋肉痛で、
身体に力が入らない。
横たわっているだけでだるい。
しばらく視界に映るものを眺めていたら、
それらが何なのか、どんな名前の
ものだったのかを思い出す。
点滴、尿道カテーテル、カーテン、天井、ベッド
ナースコール、窓、布団、床。
さっきまで風船だと思っていたものはただの壁のシミだ。
腕やふくらはぎの傷にはガーゼがあてられている。
うん、ここは間違いなく病院!
段々と医者の発する音が耳に入ってくる。
さっきまで聞こえていたBGMは幻聴だったらしい。
「ぜ、んしんが ィた…… いンですけど、、」
喉の奥にゴミが詰まっているのだろうか。
思ったように声をコントロールできない。
何より苦しい。
「……筋肉が壊れ……細胞…………カテーテルで……」
お医者さんは壊れたスピーカーのように、
ザーザーとノイズまみれな声を発していた。
お医者さん……喉、大丈夫ですか?
私のことよりも、誰かこの先生の喉を治してあげて。
◆
ただただボーっとするしかなかった。
何もしていないはずなのに、
頭の中はすごくうるさくて忙しい。
どうでも良い人が目の前から消えなくて鬱陶しかった。
退院直前に幻覚だったことに気付いたので
尚更イラっときた。
どこまで私を苦しめたいのだろうか。
全身の筋肉痛はまだ少し残っているが、
黄疸は引いたらしい。
あれからかなり忘れっぽくなったらしい。
全身の筋肉痛はまだ少し残っていて、
身体を動かすのがだるかった。
黄疸は引いたようだ。
何だか物忘れが多くなって、記憶力も低下した。
黄疸は引いたようで、少し安心した。
まだ筋肉痛は残っているが、何とかなるだろう。
201807